『法定相続情報一覧図とは』
法定相続情報一覧図とは
法定相続情報一覧図とは、家系図のようなもので、A4サイズの紙1枚で相続関係を証明することができる公的な証明書です。
法定相続情報一覧図は、2017年に始まった制度で、法務局に申出をすることにより取得することができます。
これまで、不動産の相続登記申請や預貯金の払戻し、株式の名義変更など、遺産相続の手続をする際は、手続先ごとに、相続関係を証明するための戸籍謄本等一式を提出する必要がありましたが、法定相続情報一覧図を取得しておくことにより、法定相続情報一覧図1枚を戸籍謄本等一式の代わりとすることが可能になりました。ただし、法定相続情報一覧図による手続ができないケースもありますので、事前に法定相続情報一覧図を利用することができるか確認することをお勧めします。
法定相続情報一覧図を取得するメリット
(1)相続手続に必要な戸籍謄本等一式の代わりになる
特に、銀行口座を複数所有しているなど、複数の相続手続を進めたいような場合には、戸籍謄本等一式の代わりになる法定相続情報一覧図を複数取得することにより、戸籍謄本等一式を何部も取得することなく、スムーズに手続を進めることができます。
具体的には、次のような手続で使うことができます。
・不動産の相続登記(名義変更)
・預貯金の名義変更や解約
・有価証券の名義変更
・自動車の名義変更
・相続税の申告
・年金手続
(2)無料で複数枚取得することができる
戸籍謄本等を取得する際の手数料は、1通数百円かかり、戸籍謄本等一式で数千円以上となることが一般的ですが、法定相続情報一覧図は、無料で取得することができます。
また、法定相続情報一覧図は、複数枚取得することができるため、相続手続に必要な枚数を取得して各手続先に提出することにより、一度に複数の手続をすることができます。
(3)申出から5年間は再発行が可能
申出から5年以内であれば法定相続情報一覧図の再発行を請求することができます。再発行の手数料も無料です。
なお、法定相続情報一覧図の再交付を受けることができるのは、法定相続情報一覧図の申出をした人に限られます。申出人ではない相続人が再交付を受ける場合は、申出人に委任状を書いてもらう必要があります。
法定相続情報一覧図の申出ができる人は
法定相続情報一覧図の申出をすることができる人(申出人)は、被相続人の相続人です。
また、ご自身で申出が難しい場合は、申出を委任することも可能です。委任できる人は限定されており、次のとおりです。
・申出人の親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)
・資格者代理人(司法書士、土地家屋調査士、弁護士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)
・申出人の法定代理人
法定相続情報一覧図の取得の流れ
(1)必要書類の収集
法定相続情報一覧図を発行するためには、まずは法務局に提出する書類を用意します。一般的には、次のような書類が必要です。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
・被相続人の住民票の除票の写し
・相続人全員の戸籍謄本等
・(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合のみ)相続人全員の住民票の写し
・申出人の住所氏名を確認することができる公的書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票の写しなど)
(2)法定相続情報一覧図と申出書の作成
次に、法定相続情報一覧図と申出書を作成します。
法定相続情報一覧図は、家系図のようなもので、被相続人と相続人全員を一覧にした図です。
法定相続情報一覧図と申出書の様式及び記載例は、法務局のサイトにて詳細な内容が掲示されていますので、参考にして作成することができます。
(3)法務局への申出
必要書類の収集と法定相続情報一覧図などの作成ができたら、法務局へ提出します。
法定相続情報一覧図は、どこの法務局に対しても申出できるわけではありません。申出をすることができる法務局は,次の地を管轄する法務局のいずれかです。
・被相続人の死亡時の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
なお、法務局に直接持っていくこともできますし、郵送での申出も可能です。
提出してから交付までの期間は、法務局の混み具合にもよりますが、一般的に1~2週間程度で交付されます。
(4)法定相続情報一覧図の写しの交付
法務局にて提出した書類の確認後、認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付と、提出した戸籍謄本等の返却がされます。
法定相続情報一覧図の写しや、提出した戸籍謄本等は、郵送にて受け取ることもできます。この場合は、郵送に必要な返信用封筒や郵便切手を、申出の際に提出しておく必要があります。
まとめ
法定相続情報一覧図の写しを取得することで、預貯金の解約や不動産の相続登記などの相続手続に利用することができます。
法定相続情報一覧図の写しは無料で、手続に必要な枚数を発行してもらうことができるため、複数の手続を並行して進めることも可能となります。
なお、法定相続情報一覧図の申出は、司法書士などの代理人に依頼することも可能です。法定相続情報一覧図についてお困りの方は、お近くの司法書士にご相談ください。