遺産整理業務とは

 ご家族が亡くなられたとき、遺された方々が行わなければならないのが「相続手続」です。不動産の名義変更、銀行口座の解約、遺産の分け方の話し合いなど、やるべきことは多岐にわたります。
 このような相続開始後に行う一連の手続を総称して、「遺産整理業務」と呼びます。
 これらの手続は、法律や税の知識が必要な上、提出する書類も多いため、ご自身で進める際は負担が大きくなることもありますが、遺産整理業務を司法書士等の専門家に依頼することで、法的な不備や手続ミスを防ぎ、円満・円滑な相続につながります。

相続手続が複雑になりやすい理由

 相続の手続は、相続人の数や関係性、財産の種類、遺言の有無などによって必要な手続は大きく異なります。
 また、以下のような理由から、手続が煩雑になりやすい特徴があります。
 • 手続を行う窓口(法務局、銀行、証券会社、市区町村など)が多数ある
 • 上記窓口に平日の日中に行かなければならないことが多い
 • 必要な書類の数が非常に多い
 • 期限のある手続(相続放棄、相続税申告など)が存在する
 • 書類作成や提出に法律的な知識・正確性が求められる
 そのため、正しい知識と丁寧な準備がなければ、手続が長引いたり、将来的にトラブルが発生したりするおそれもあります。

遺産整理業務の基本的な流れ

 遺産整理業務は、一般的に以下のような流れで進めていきます。

(1)遺言書の確認

 相続手続を始めるときには、遺言書の有無の確認が必要です。遺言書の調査をする際は、まずは亡くなった人が大切なものを保管していそうな場所を探しましょう。
 遺言書があった場合、遺言書の種類によって必要な手続は異なります。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続が必要となり、相続人であっても勝手に開封することはできません。遺言書を勝手に開封してしまうと、過料が科される可能性があります。

(2)相続人の確定

 相続人の調査とは、戸籍謄本などを収集し、誰が相続人であるのかを調査することをいいます。相続人の調査をするとき、まずは亡くなった人が生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本等を取得し、法定相続人が確定したら、相続人全員の戸籍謄抄本等も取得します。

(3)財産調査と評価、相続方法の選択

 相続財産には、不動産、預貯金、有価証券、自動車、保険などが含まれます。借金や住宅ローンなどの債務も調査対象です。適切な評価を行うことで、公平な分割や相続税申告が可能となります。
 相続財産の調査が完了したら、相続放棄を行うか検討します。相続放棄をする場合は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に手続を行う必要があります。

(4)遺産分割協議

 相続人全員で協議し、誰がどの財産をどのように取得するかを話し合います。協議が成立した場合は、遺産分割協議書を作成し、各人が署名・押印します。

(5)名義変更・解約手続き

 遺産分割協議書の作成が完了したら、各相続財産の名義変更手続を行います。例えば、不動産は管轄の法務局にて相続登記の申請をし、預貯金は各金融機関にて解約・名義変更を行います。

(6)相続税の申告と納付

 課税対象の財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告と納付が必要です。

期限がある主な相続手続

(1)相続放棄

 相続には「プラスの財産」だけでなく、「借金などのマイナスの財産」も含まれます。借金の方が多い場合、相続放棄をすることも可能です。
 ただし、相続放棄には「相続開始を知った時から3か月以内」という期限があります。迷った場合は、早めに司法書士など専門家に相談しましょう。

(2)相続登記(不動産の名義変更)

 不動産の所有者が亡くなった場合、名義を相続人に変更する「相続登記」が必要です。
 相続登記の申請は義務となっているため、3年以内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

(3)相続税の申告と納付

 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える財産を相続した場合には、10か月以内に税務署へ申告と納付をする必要があります。

生前の準備をすることで、円満・円滑な相続に

 遺産整理をスムーズに行うには、亡くなられた方が生前に対策をしておくことも重要です。生前の準備によって相続のトラブルを未然に防ぐことができるケースも非常に多いです。
 例えば、次のような準備があります。
 • 遺言書の作成
 • 財産目録の作成
 • 不動産や口座の整理
 • 家族への意志表示
 このような準備をしておくことで、相続人の方々がスムーズに手続を進められるようになり、円満・円滑な相続につながります。
 司法書士は、遺言や財産管理など生前対策のご相談にも対応しております。将来の不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

最後に

 相続は、多くの方にとって人生で1~2回くらいしか経験しない手続です。
 司法書士は、皆さまに寄り添いながら、複雑な法的手続をわかりやすくご案内し、相続の不安を一緒に解消していきます。
 「何から始めたらいいかわからない」
 「手続に漏れがないようにしたい」
そのようなお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にお近くの司法書士ご相談ください。

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